折口 雅博

会社設立から4年5カ月、グッドウィル・グループとして1999年に株式を公開。
同年、「コムスン」を子会社化し、介護事業に本格参入。軽作業アウトソーシング、技術者派遣などのグッドウィル、介護のコムスンを核として総合人材サービスというカテゴリーを確立した。
2004年、東証一部上場。
その後M&Aなど、さらに新しい分野を取り込み、会社の規模を拡大させ、創業12年目の2006年、驚異のスピードで売上高は7700億円にまで到達した。それは日本の企業の歴史上ダントツの最速であった。

保証金5400万円を自身で借金をしてまで工面をし、プロジェクトを遂行させた。
商社が日本初の外資系大型ディスコをプロデュースするという話題性と、オープン前のブランディングにより、前評判を盛り上げることに成功。
そして、「常に満員である」というディスコのセンターピンをしっかりと捉え、オープンの4カ月後には、月に1億円の利益を生み出す伝説のディスコへと成長させた。

ジュリアナ東京から追われ、失意の中、多額の借金を抱えながら、2年以上にわたってジュリアナ東京を超えるプランを練る。
土地のオーナーとの1年にわたる交渉や、計画した30億円もの開業資金を捻出するため、知恵を絞ってビジネスモデルを造り上げた。
巨大リースが決まり、エイベックス、オリックスなどの協力のもと、1994年に、東京・六本木に世界最大級のディスコ「ヴェルファーレ」が誕生。メディアに大きく取り上げられ、週末には2000人近くの集客を誇る、まさに〝六本木の新しい顔”になった。
また、スター発掘の場としても有名である。

社会貢献の想いのもと、2000年の公的介護保険スタートを機に、全国各地への24時間365日の介護サービスのため、4か月で1217拠点を設立した。
ニーズの顕在化を得るまでに一時は300拠点にまで統合したが、積極的な啓もう活動や黒字化できるビジネスモデルを確立させ、再び約1200拠点に戻してみせた。
250億円という巨額の資金を投入してブランディングと拠点づくりを行い、介護のイメージを明るくした。コムスンを含むグッドウィル・グループは2年連続で、日本のすべての企業のなかで新卒採用第一位となり、日本の雇用にも貢献した。

グッドウィル・グループの代表を退任後、ニューヨークに移住し、グッドウィルグループ時代に作った超高級レストラン「MEGU」のチェアマンとなる。
常連客には、ハリウッドスターやプロスポーツ選手、そしてニューヨークの不動産王ドナルド・トランプなどのそうそうたる名が連なった。
モスクワ、ドーハ、ニューデリー、スイスなど世界でのフランチャイズ展開を成功させた。ニューヨークの店舗は世界のホスピタリティービジネスを格付けする機関「AAHS」からシックススター・ダイヤモンドという賞を受け、快挙を成し遂げた。

日本での企業経営の実績と、アメリカでの体験で確信した知見を活かすべく、起業家インキュベーターとして、後進の育成に身を投じることを決意する。
そしてニューヨークと東京を拠点としたブロードキャピタル・パートナーズを設立、CEOとして、日米の企業に対して投資に関するアドバイザリー、日本の起業家へのコーチングを行う。
実際に、ゼロからわずか12年で大規模企業に発展させることができたのは、折口自身が明快なビッグピクチャーを描き、さまざまな課題を着実にクリア、正確な経営判断を続けた結果である。

NYに転居したとき次男は９歳で英語は全くできなかった。
そこから、折口の徹底した引率で、次男は完璧なバイリンガルとなり、スポーツでの活躍、難度の高い勉強の取り組みを経て、世界的トップスクールへの入学に成功。 この期間、精密ともいえる英才教育のシステムに接したことで、アメリカという国の強さの原点を見出す。
教育に関するシステムのあり方が、文化を踏まえて、国の経済に大きく関わることを、折口は強調する。