会社設立から4年5カ月、グッドウィル・グループとして1999年に株式を公開。
同年、「コムスン」を子会社化し、介護事業に本格参入。軽作業アウトソーシング、技術者派遣などのグッドウィル、介護のコムスンを核として総合人材サービスというカテゴリーを確立した。
2004年、東証一部上場。
その後M&Aなど、さらに新しい分野を取り込み、会社の規模を拡大させ、創業12年目の2006年、驚異のスピードで売上高は7700億円にまで到達した。それは日本の企業の歴史上ダントツの最速であった。
2012年の春。久しぶりにこの上ない喜びと充実感を味わっていた。何もかも無くしてから、アメリカに渡り4年。私は、中東の都市ドーハにある巨大人工島「ザ・パール・カタール」にいた。その中心部に、私が世界展開を手掛ける「MEGU」がオープンしたのだ。
レセプションが始まる。日本から招いた和太鼓集団「鬼太鼓座」のメンバーが打ち鳴らす、力強い音色が何とも心地よい。タキシードのブラックタイを直そうとした指先が、かすかに震えていることに気づき、珍しく緊張している自分に思わず苦笑したことを覚えている。
サーブされたグラスを手に取ると、レセプションに招かれた王族やセレブリティたちとともに夜空に高く、高く、掲げる。鳴りやまない拍手と歓声につつまれながら、私はしばし感慨にふけった。
(「第1章 わが事業家人生」より)